遺言についてのお話(その1)

最終更新: 2019年8月22日

遺言についてお話しましょう。

遺言書とは、「私の財産を、私の死亡後、誰に受け取ってもらうか」を書面にしたものです。

最近では、人生の終活の一つとして遺言書を作ることに抵抗はなくなったようです。かつては、遺言書づくりは死去することを間近に控えて作るというイメージが強かったので、その後、いわゆる「争族」関係が発生するというものでした。以下、参考になるかならないかわからないお話。

(1)遺言づくりの適齢期は

平均年齢女性85歳、男性81歳。健康年齢女性75歳、男性71歳という時代です。100歳を目指すキャンペーンがマスコミをにぎわせています。しかしやっぱり70歳代に入れば、収穫を終えたあと、残すべき財産が見通せることになり、70歳代に入る頃には遺言書作成を決意する、そしてこれを実行に移すことが健全だと思います。あまり先送りすると決断力が衰え、事態はより神経質になるでしょうから。

(2)私には、残す財産はないですよ、という方には

「妻と子供が残されますが、絶対揉めないですよ」「財産は、ほとんどありません」と思われる方が多いでしょう。司法統計によれば家庭裁判所での調停成立事件の75%は資産5000万円以下(うち33%は1000万円以下)の遺産「相続」とのこと。いかがお考えですか。

(3)遺言書が物語るもの―それは人生そのものー

私が、若い頃、弁護士として関係した遺産分割案件では、もっぱら財産の分配についてのみ腐心したものです。しかし、人生が長くなりますと、あるいはいくつかの案件に接しますと、遺産分割というのは財産を渡す人と受け取る人の人生・人間関係の総決算だと考えるようになりました。従って、なるべく円満な関係を維持させるためにも、不満があっても小さな不満に留まるようにと配慮して、遺言書作成に協力するという方向です。

(4)やはり専門家のアドバイスを。

あなたの財産を受け取る人たちには配偶者、子、孫などがあります。それらの人との同居別居の事情もあります(あなたの老後も引き続き安定的でありたいということを含みます)。あるいは、障害を持つ子がいる場合、その事情も考えます。

関係者の個別の事情、人間の好き嫌いの感情、にかかわらず、なるべく「公平」を貫くこと。実に難しいですが、残された人の平穏、精神の安定に配慮し、第三者としての専門家のアドバイスを求め、納得のいく内容を作り出すことですね。人生終末の大事業です。

(5)さあ、決断です。肩の荷をおろしましょう

モヤモヤが消えます。

数年後に書換えをしたいというときは、書換え可能です。新しい遺言書が優先します。ただその場合でも、内容を変更するにふさわしい事情が発生しているかどうかを検討することが大切だと思います。