top of page

更新日:2019年8月22日

私のプロフィール欄にも記載しましたが、京都らしいというべきか、お寺さんや神社さんなどの宗教法人のお仕事をさせていただいていることが、私の業務の特徴の一つです。


「宗教法人の仕事って、どんな仕事?」と思われたかもしれません。宗教法人に関わるお仕事というのは、種々様々考えられ、「弁護士の仕事といえば裁判」という観点からは、訴訟事件ももちろんあります。

訴訟事件では、これまで、

お寺の住職が無権限であるとして本山から明渡請求を受けた事件

本山が選任した責任役員や総代の地位不存在を争った事件

反対に、門徒だと主張する者らから責任役員や総代の地位不存在を争われた事件

少し変わったところでは、神社の構造物の著作権が争われた事件

神社に対する名誉毀損・信用毀損を争った事件

などもさせていただいてきました。



もっとも、宗教法人に関わるお仕事は、訴訟事件にとどまりません。

その中の一つとして、宗教法人の設立や規則変更などの、宗教法人の規則に関するものがあります。


宗教活動をしている団体は、それだけでは法律上の能力はありません。宗教法人の規則を作成し、所轄庁からその規則の認証を受け登記して初めて、法律上の能力を得ることができます。

宗教法人法は、第1条で「宗教団体が、礼拝の施設その他の財産を所有し、これを維持運用し、その他その目的のための業務及び事業を運営することに資するため、宗教団体に法律上の能力を与えることを目的」と定めています。

宗教団体に法律上の能力を与えるのは、宗教団体の目的達成のための業務・事業を運営することに資するから、ということです。宗教法人となっていない場合は、宗教団体の活動が、そもそも宗教活動として信仰の自由の観点から保護されるべきものなのかどうか、あるいは、団体の活動として保護すべきものなのか、単に個人の活動に過ぎないのか、客観的に不明確です。そうすると、当該宗教団体の活動は、宗教活動ではないと判断されたり、単なる個人的活動に過ぎないと判断されてしまう可能性があります。当該宗教団体としては、個人の活動と切り離された団体としての宗教活動だといくら思っていても、です。

そこで、宗教法人となる必要が生じるわけです。


宗教法人となるためには、上にも書いたとおり、規則を作成し、所轄庁から規則の認証を受け、登記する必要があります。

宗教法人の規則に定めるべき事項は宗教法人法に定められており(12条)、また、所轄庁で雛型を作ってあると思います。写真の文化庁作成の「宗教法人の規則」の中にも詳しい解説があります。

とはいえ、宗教団体によっては、特色というか独自性がある場合もあり、法律や所轄庁の扱いに反しない範囲で、規則に色を出すことが必要な場合もあります。ちなみに、神社さんの包括法人である神社本庁は、規則の定め方については細かい部分も含めて定めていて、その通りの規則にする必要があります。


規則を作成したからといって、すぐに所轄庁から認証を受けられるわけではなく、規則に基づいた宗教活動を、少なくとも3年間所轄庁に報告し、確認してもらう必要があります。3年間という期間は恐らく全国共通かと思います。私が担当させていただいたケースでは、ご依頼者が宗教団体としての宗教活動を古くから(ルーツは和同4年、現状の形では明治初期)続けてきていたことが明らかということで、2年半で認証を受けることができました。


このとき重要であるのは、所轄庁の担当者とよい関係を築くことです。認証してもらうからという打算的な観点からではなく、所轄庁ごとに一定程度運用に色や幅があるため、それを教えてもらいながら進めることが最短ルートでゴールにたどり着く方法だからです。


これは、規則変更のときも同じです。規則変更したいこちら側の意図を所轄庁の担当者に理解してもらっておれば、進め方についての示唆をもらえる場合もあります。先日、ご依頼いただいている九州の宗教法人で、包括・被包括関係を解消する(いわゆる離脱)規則変更を行いましたが、当然私は、九州まで足を運び、所轄庁の担当者と顔を合わせて規則変更の意図を伝えながら進めました。無事規則変更の認証を受け、登記期間が2週間と短いこともあり、説明するより自分でした方が早いので、登記手続きまで自分で行いました。


このように、訴訟案件だけではなく、宗教法人の組織そのものに関わることも、宗教法人のお仕事の一つとして担当させていただいています。





更新日:2019年12月10日

新年度が始まり、新しい元号が「令和」に決まりました。今年度もよろしくお願いいたします。



さて、昨年度末のことになりますが、大学でハラスメントに関する研修をさせていただきました。


研修では、代表的なハラスメントであるセクシュアル・ハラスメントとパワーハラスメント、更には大学特有のハラスメントであるアカデミック・ハラスメントの意味や特徴を紹介しました。

その上で、具体的にどのような行為がハラスメントになるのか、ハラスメントに関して加害者や使用者がどのような義務や責任を負うのかなどについて、裁判例も織り交ぜて話をしました。



ハラスメントについては、更なる法整備が予定されているところであり、社会的関心も高いかと思います。


そのような中、特に大学などの現場は、ハラスメントが発生しやすい環境にあるため、教員や職員が過度に萎縮してしまっている現状があるように感じます。


「こんなことしたらハラスメントになるのではないか」

「ハラスメントと言われたらどうしよう」


と。


大学がハラスメントが発生しやすいというのは

構成員(教員、職員、学生)の立場の違いが大きく閉鎖的な組織・人間関係であること

成績を決定する権限を有する教員に対して学生が抗議できず問題が発生しにくいこと

大学の自治に基づく各セクションの相互不干渉ゆえに監督体制が不十分になること

などによります。



確かに、そう思わざるを得ない状況もあるのであろうと思う反面、何か方向性がずれているようにも感じます。


ハラスメントが問題となる場面というのは、「一個人対一個人」のコミュニケーションの場です。

ハラスメントとならないために、一般化、抽象化して予防策や心構えを論ずることはある程度必要であろうと思いますが、それでハラスメントを予防しきることはできないでしょう。

問題となる場面は、あくまで「一個人対一個人」なのであって、一般化、抽象化しきれないからです。


ですので、意識として


相手を個として、その人格、個性を尊重する、敬意を示す


ということなしにハラスメントを予防することはできないと思います。


ハラスメントに対して過度に萎縮する心理の根底には、相手を一般化、抽象化する意識があるように思います。


人は一人ひとり違うのですし、違って当然です。当然、人との関わりも変わって当然です。相手を個として尊重し、敬意を示すことで、よい組織づくりをしていきたいですね。




更新日:2019年12月10日

先日、大学で、教職員向けに、個人情報の取扱いに関する研修の講師をさせていただきました。


研修では、個人情報、個人情報保護制度の概要、個人情報取扱いの流れとルール、個人の権利利益との関係について解説し、質問にもお答えしましたので、教職員の方々は、正しく実践していってくださると期待しています。



コンプライアンスの観点からは、法律の定めを正確に理解し、記憶しておくことはもちろん望ましいことですが、法律の専門家でない方々に対し、関連するあらゆる事柄について、法律の定めを正確に理解し、記憶しておくことを求めることは現実的ではないと思います。


日々の業務の中で「これは法律的にセーフなのだろか」という疑問が生じた際に、その道標となる「原理原則」を正確に押さえておけば、たいていクリアしていけるのではないかと思います。 もちろん、それでも迷った際には弁護士にご相談いただきたいと思います。



個人情報の取扱いに関する「原理原則」とは ①個人情報とは何かを押さえておくこと ②個人情報の取得には利用目的が伴うことを理解すること ③個人情報は利用目的以外の目的には原則として利用・提供できないことを理解すること に尽きるのではないかと思います。


個人情報とは ・生存する個人に関する情報であって ・当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項)により、もしくは、他の情報と容易に照合することにより、特定の個人を識別することができるもの または ・個人識別符号が含まれるもの

です。

生存する個人、特定の個人を識別可能、容易に照合できるというところがポイントです。 個人識別符号というのは、指紋、歩行姿勢、運転免許証番号、パスポート番号などのことです。


こうして個人情報とされるものは、利用目的を特定して取得し、利用目的外の目的のためには原則として利用できないし、他に提供できない、ということを押さえておいていただければと思います。




bottom of page